PPOの目的関数を直したら、探索付きの勝率が8ポイント落ちた

探索なしのPPO自己対局でSplendor AIは強くなった。しかし目的関数を見直すと、勝敗と無関係に稀な手を押し上げる仕組みがあった。山札から非公開でカードを予約する「blind reserve」の学習も、この力に支えられていたのではないか。

自己対局では3%の探索用分布を混ぜて着手する。従来のPPOは更新後のPolicyを着手分布で割った比をclipし、稀な手には負のアドバンテージが届かず、正の側だけが働いた。32反復ごとに更新する参照分布へのKL正則化も、Policyを探索用分布へ繰り返し寄せていた。

比をPolicy自身の更新前後の比に直し、正則化は探索下限を満たさない候補を補う形に変更。初期モデルn5_s1から同じseed・対局局面で2系統、各100反復を比較した。

対局スコア(修正−従来)従来修正差
探索なし vs n5_s156.5%53.8%−2.6pt
PUCT-128 vs n5_s157.4%49.2%−8.1pt
PUCT-128 vs 48世代学習モデル55.1%49.1%−6.0pt

各行は1,024組の先後交換対局。主要な8.1pt差の95%区間は−9.9〜−6.4pt。探索時の低下が際立つ。

100反復後の指標従来修正
MAIN Policy entropy1.15〜1.180.48〜0.49
KL制限による更新停止(98回中)4〜12回60〜63回
blind prior(固定2,000局面)0.044〜0.0500.0022

修正モデルのPolicyだけを温度で平坦化し、Valueと候補順位を変えず同じ512開始局面で再評価すると、探索スコアは3.0pt回復した。事前分布の尖りがPUCTの探索を狭めた可能性がある。ただし従来との差はなお5.4pt。2か所を同時に直したため、次はclipと正則化を個別に切り分けたい。


この記事は、実装・実験記録をもとに、主にLLMが編集しています。